
介護のバイトをしようと思っている人の中には、デイサービスを考えている人もいるでしょう。 きついと言われがちな介護業界。結論からいうと、デイサービスバイトもきつい部分はあります。 今回は、デイサービスバイトがきつい理由と、それだけじゃない魅力ややりがいも紹介していきます。
デイサービスのバイトがきついと感じる理由とは?
業務内容が多岐にわたるため負担が大きい
デイサービスは、業務内容がかなり多くなります。 多くのデイサービスでは、利用者さんが朝から夕方までを過ごし、その間に入浴やレクリエーション、食事などのサービスを提供します。
なので「デイサービス=これ」といったものはあまりなく、たくさんの仕事を覚える必要があります。 実際に私が経験したスケジュールの一例を紹介しましょう。
8:00 勤務開始
8:10 送迎開始
10:00 送迎終了
10:15 入浴介助
12:00 食事介助
13:00 昼休憩
14:00 体操
14:30 レクリエーション
15:00 おやつ提供
15:15 トイレ誘導
15:30 帰りの体操
16:00 送迎開始
17:30 送迎終了
17:40 退勤
このように、業務内容が多いのはもちろんですが、 一日のスケジュールがしっかりきまっているので、この通りに遂行する必要があります。 時間に追われやすいということも、きつく感じる理由でしょう。
利用者の名前や顔を覚えられずストレスを感じる
私が働いていたところでは、利用者さんが合計40人くらいいました。 この全員の名前や顔を覚える必要があるのはもちろんのこと、 1人ひとりの
・性格や価値観
・杖や歩行器の有無
・認知症の有無
・留意点
などを覚えなくてはいけません。 私はこれらを全て覚えるのに3か月くらいはかかりました。 働くデイサービスの規模にもよりますが、かなり労力がかかることにはなるでしょう。
コミュニケーションの難しさと雑談の必要性
デイサービスに来る利用者さんは、比較的要介護度が低めの方が多いです。 なのでしっかりとお話をできる方が多いですし、雑談を楽しみにいらっしゃる方もいます。
つまり、デイサービス職員は雑談力も求められることになります。 年の離れた方と、何の指示もテンプレもなく雑談を盛り上げるのは、 慣れていない方にとっては少しきついかもしれません。
また雑談以外にもコミュニケーションは必須です。 車の乗り降りをするとき、入浴介助をするとき… どんな時でもしっかりと声掛けをしないと事故に繋がってしまいます。
職場環境や人間関係のストレスが影響することも
デイサービスはチームプレーです。 何十人もの利用者さんを1人で見ることは不可能なので、常に数人で協力して動きます。 1人で黙々と仕事をする時間はないと思っていた方が良いでしょう。
そこが心強さでもありますが、苦手な人がいてもその人を避けることは難しいです。 事故を防ぐには利用者さんとのみではなく職員同士のコミュニケーションも大切なので、 そこの面でストレスを感じてしまう方はいるでしょう。
利用者さんの要望を全ては叶えられないジレンマ
介護の基本理念は、「利用者本位」です。 本来であれば、お風呂に入る時間もご飯を食べる時間も全て好きに決めていただくのが、介護の在り方です。
しかしデイサービスではそれはほぼ不可能です。 1人の入浴時間が遅れると全体のスケジュールがずれ、時間内にサービスを提供しきれなくなってしまうため、どうしてもこちらのペースで行うことになります。
これは不可抗力の面も大きいですが、介護に熱い想いを持っている方ほど、 最初はジレンマを感じてしまうかもしれません。
他の介護職との違いは?デイサービスが特養より楽と言われる理由
介護現場はデイサービス以外にも、特養や老健、訪問介護など多岐に渡りますが、 それらと違うのはどこなのでしょうか。
身体介護がそこまで高度ではない
前述したように、デイサービスに来る方は、要介護度が低めの方が多いです。 そのため、特養などと比べて身体介護の負担が減りやすい傾向にあります。
例えば私が働いていたデイサービスでは、自分で歩ける方が多かったので、 車椅子での移乗などはほとんどありませんでした。 トイレも、座るところまでお手伝いすれば自分でできる方も多く、おむつ交換もほとんどしていないです。
その代わりコミュニケーションや、「楽しんでもらう」に重きを置いた部分も多く、 「デイサービスは接客業」と言っていた先輩もいるほどです。
夜勤や年末年始の出勤がない
デイサービスは日中のサービスなので、必然的に夜勤はありません。 また、利用者さんは時間になれば必ず帰るので、残業が発生しにくいというメリットもあります。 これは他の介護職と比べてかなり楽な部分と言えるでしょう。
特養などはそこが利用者さんの生活の場となるので、 夜勤や早朝勤務は避けられません。 また、私が働いていたところは、毎週日曜日が定休日で、年始は3日まで休みでした。 予定が立てやすいのがありがたかったですね。
看取りが少ない
デイサービスは基本的に、支援は必要なもののある程度体調が安定している方が来ます。 病院併設型や医療型ではない場合は特にその傾向にあります。 ある意味利用者さんの社交の場やサードプレイス的な役割も担っていると言えるでしょう。
なので、必然的に他の介護職に比べると人生の最後を見届ける機会は少なくなります。 看取りが必要になる頃には、デイサービスには来ず自宅や病院で過ごすことになるからです。 これを楽というのは少し語弊がありますが、精神的に消耗しにくい部分はあるでしょう。
給料はそこまで高くない
介護職は給料が低いというイメージがある方は多いと思いますが、 訪問介護などは最近少しずつ上がってきています。 私が調べた限りでは時給1700円~2000円以上のところもありました。
それに比べるとデイサービスは低めのことが多いです。 私のときは、スタートが時給1177円、初任者研修修了後は1220円でした。 東京や大阪であれば飲食バイトなどとあまり変わりませんね。 今後少しずつ上がっていくとは思いますが、 身体介護が少ない分上がりしろは小さいのかもしれません。
デイサービスでの働き方を楽にするための方法と工夫
沈黙にならない雑談ワードの作り方
得意ではない人には鬼門になるであろう雑談ですが、 そんな人でも沈黙させない、オススメの方法があります。 それは、
何が返ってきても、もう1つ質問を重ねられる質問をすること
です。 まず前提として、最初に話しかけるのは質問がベストです。 「今日は良い天気ですね」などだと、導入としては良いですが「そうですね」で会話が終わってしまいます。 なのでまずはクローズドクエスチョンをしてみましょう。 クローズドクエスチョンとは、「はい」か「いいえ」で答えられる質問のことです。 逆に「はい」か「いいえ」では答えられない質問をオープンクエスチョンと呼びます。 認知症のある方はオープンクエスチョンに答えるのが難しい場合があるので、 介護での基本はクローズドクエスチョンになります。
その中でも、そこから別のクローズドクエスチョンに繋げられるものがベストです。 私のオススメワードは 「ずっとこの辺りにお住まいなんですか?」 です。 「はい」と言われた場合は「この辺りもだいぶ変わりましたか?」と繋げられますし、 「いいえ」と言われた場合は「どこご出身なんですか?」と繋げられます。
このように、クローズドクエスチョンの答えに応じた分岐の質問を考えておくことで、 会話のターン数を増やし沈黙を減らすことができるのです。
利用者さんの情報を覚えるための味方「利用者ノート」
利用者さん数十人の情報を何もなしで覚えるのは、 よほど記憶力に長けていないと難しいでしょう。
そこでオススメなのが、「利用者ノート」を作ることです。 ポケットに入るサイズのメモ帳を用意し、利用者さん1人当たりに1ページずつ用意します。 そこに
・名前や見た目の特徴
・性格や好きなこと
・送迎時のポイント
・留意点
などを随時書いておけば、いつでも取り出して見ることのできる心強い味方になります。 これがあれば安心感を持って仕事をすることができますし、好きなことなどをまとめておけば雑談を振るときにも役立ちます。 メモを取る方は多いと思いますが、そこから派生して、ずっと使える相棒に変身させてみましょう。
レクリエーションのネタ切れ対策!レクの使い回し方
デイサービスにはレクリエーションの時間がほぼ必ずあります。 体を動かしたり頭を使ったりして、利用者さんの身体機能の維持や向上などを目的とする とても大切なものです。
しかしそのレクを考えるのはスタッフであり、多くの場合順番に回ってきます。 毎日やっているので、割とすぐにネタ切れの危機に陥ってしまいがちですが、そんなときに使える考え方があります。
レクリエーションは上手に使い回す
です。 使い回すというと悪いイメージに聞こえますが、毎回新しいものを考えることは不可能であり、 同じレクを使い回すことは悪いことではありません。 しかし短期間で同じことを何回もすると利用者さんも飽きてしまいますね。 なので「上手に」使い回すことが大切です。
例えば私たちがよくやっていたレクに、紙コップタワーがありました。 机の上に紙コップをピラミッドのように積んでいく、シンプルながら非常に指先が鍛えられるゲームです。 これを使い回すときはどうするか。 机の上ではなく、少しだけ斜めになっている台の上で行う。 これだけです。これだけで難易度は大きく上がり、別のゲームに変身してくれます。
このように、同じ内容でもマイナーアレンジを加えることで、新鮮な気持ちで利用者さんは楽しんでくれます。 レクに迷ったときは、ぜひ使ってみてくださいね。
デイサービスの離職率は?辞めたくなった時にすべきこと
介護職の離職率は意外と高くない?
介護職の離職率は高いイメージがあるかと思いますが、数値で見ると意外とそこまで高くありません。
公益財団法人介護労働安定センターでの「令和6年度介護労働実態調査」によると、 訪問介護、介護職員を合わせた2種類の離職率は、12.4%です。 また厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概要」によると、他業種含めた日本企業の離職率は14.2%となっています。 出典元は異なるものの、これを見る限り介護職の離職率は高くなく、むしろ平均以下です。
イメージに反してこの数値の理由は、
・施設ガチャが大きい
・やりがいはあるので向いている人は続ける
・入職の平均年齢が比較的高いので、辞める人が減りやすい
などがありそうです。 これはデイサービスに限った話でも同じで、 やりがいを見つけ、自分に合った施設を選ぶことが長く続くポイントになるでしょう。
辞めたくなった時にすべきこと
デイサービスで働いていて、辞めたくなってしまうこともあるでしょう。 そのときに一瞬立ち止まって考えてほしいことがあります。
そこの職場が嫌なのか、介護職自体が嫌なのか
ということです。 そこの人間関係や雰囲気が嫌なのであれば、場所を変えれば改善する可能性があります。 デイサービスは日本にたくさんありますし、デイサービス以外にも,特養や訪問介護、有料老人ホームなど、 働く場所はたくさんあります。 それぞれ仕事内容が大きく異なるので、デイサービスは合わなかったけど特養は合っていた、などとなる可能性は十分にあります。
逆に介護職自体が嫌になった・向いていないと感じた場合は、思い切って辞めてしまうのはありだと思います。 特養に行こうが訪問介護をやろうが「利用者さんのお世話をして利用者さんの生活をサポートをする」 という根本は変わりません。 そこが合わないと思うのなら、悪い意味ではなく介護職に向いていないのかもしれません。 バイトならそこまで責任もなく辞めやすいですし、正社員でも、向いていない仕事をだらだらと続ける意味はないです。
あと少し語弊のある言い方になりますが、介護業界はある程度簡単に戻ってこれます。 人手不足ですし、ブランクがあっても経験者は非常に歓迎されます。 なので「嫌なわけじゃないけど他の業界も見てみたい」という方も、一度挑戦してみるのはありだと思います。
若者はなぜ介護職が続かないのか
若者はそもそも介護職を選ぶ人数が少なめですが、選んだ中でも、中年層と比べて離職率が高くなりがちです。 同上の介護労働実態調査によると、年代別離職率は 「29歳以下」18.7%、「30歳~39歳」13.8%、「40歳~49歳」12.4%であり、年齢が低いほど辞めていることが分かります。
この理由を私なりに考察してみます。
①徹底した「縁の下の力持ち」
介護は常に利用者さんが主役です。 利用者さんが満足のいく生活や人生を送ることができるように全力を尽くすことが、介護職であるといえるでしょう。 ここが魅力でもありますが、「自分の力で人生を変えたい」「実力で評価されたい」と考える人には物足りないかもしれません。
②成果が見えにくい
3か月ほどで辞めていった20代前半の先輩職員が 「利用者さんの状況が、悪くなることはあっても良くなることはないのでしんどい」 と言っていたことがあります。
介護が目指すゴールは「病気を治すこと」でも「症状を改善すること」でもなく、「利用者さんの目指す生活を実現すること」という抽象的なものです。 具体的な成果や数字で見えるものではなく、それどころか老化というものは確実に進んでいきます。 介護士がどれだけ良いケアをしても、認知症が劇的に改善することなどはありません。 そこに虚しさを感じてしまう若い職員もいるのだろうなと思います。
③自分のペースが持てない
前述のスケジュールを見ていただければ分かるように、 デイサービスを初めとする介護職では予定がみっちり組まれていて、目まぐるしく1日が過ぎていきます。 完全に自分のペースでできる職業はあまりありませんが、それでも例えば事務職などでは、自分である程度の作業の見通しを立て1人で黙々と取り組む時間がありますよね。
対して多くの介護職では、綿密なスケジュールのもと複数人でケアを行うため、自分のペースを持てる時間がほとんどありません。 私も20代前半でデイサービスを辞めましたが、主な理由はこれでした。
デイサービスで働くことのメリットややりがい
ここまでデイサービスがきつい理由や続かない理由を解説してきましたが、それでは介護職はやめておいたほうが良いのでしょうか? いいえ、そんなことはありません。介護職には知らないともったいないたくさんのやりがいもあります。
利用者の笑顔や感謝がもたらす充実感
他の介護職もそうですが、やはり「ありがとう」を多くもらえる仕事です。 様々なバイトをやってきましたが、 ここまで頻繁に「ありがとう」「助かったよ」「あなたがいてくれて良かった」などと言ってもらえる仕事は他に知りません。
また、1つ印象的なエピソードがあります。 私がいたデイサービスでは、誕生日の利用者さんに写真とメッセージカードをプレゼントしていたのですが、 普段無口であまり笑顔も見せない利用者さんが、嬉しそうにその写真とカードを眺め、 「見て見て」と周りの方に見せに行っていました。 このときに初めて私は「この仕事のやりがいってこれだろうな」 と思ったことをよく覚えています。
1人ひとりの人生と関わる楽しさ
特養などと比べると、命に直接関わるような業務は少ない傾向があります。 そのため少し余裕をもって、 利用者さんの昔話を聞いたり一緒にゲームをしたりする時間もありました。
比較的元気な方が多い分、それぞれの性格やバックボーンを知ることができます。 子どもや孫の話、趣味に話、はたまた戦争の話など、この仕事をしなければ関わることのなかった年代の人たちに様々な話を聞くことができます。 人と人が深く関わるからならではの、デイサービスのやりがいの1つだと思います。
共感力を育む経験が得られる
デイサービスではお話好きの方もたくさんいます。また、認知症で妄想の世界に入っていて、そのお話をしてくる方もいます。 そのときも基本的には否定せず、受け入れ共感することが仕事になります。 それを続けていると、あまり話してくれなかった方が話しかけてくれるようになったり、 「あなたと話すと楽しい」と言ってくれたりしたこともありました。
また、「否定から入らず話を受け止めて共感する」というスキルは、日常生活にも非常に役立つでしょう。 良い関係を築きやすいのはもちろん、私自身穏やかな気持ちで人と話すことができるようになりました。 これは退職した今でも続いています。
介護が天職な人は確実にいる
これは確実に言えます。介護が天職な人はいます。 初任者研修を受けた際の講師の中に、「介護が好きすぎてこれ以外考えられない。死ぬまで介護職をしたい」 と言っていた方がいました。 合わない人も多くいる介護職ですが、合う人にはとことん合う仕事でもあると思います。
・人が好き
・人の人生に深く関わりたい
・協力して何かを成し遂げることに喜びを感じる
という方には、持ってこいの職業かもしれません。 しかし向いているかなんてやってみないと分からないので、一度挑戦してみる価値はあると思います。
デイサービスバイトQ&A
デイサービスに運転免許は必要?
必須ではありません。 特に大きめのところでは、介護職とは別に専属のドライバーを雇っている場合もあります。 人数が少ないところは介護職がドライバーを兼任することも多いので、 免許があった方が歓迎される場合もありますが、持っていないからといって諦める必要は全くありません。
排泄介助はきつい?
向き不向きにもよりますが、私は少しきつかったです。 人の排泄物を見る機会なんてそうそうないので、最初はインパクトがあるでしょう。 慣れたら大丈夫な人もいますし、ずっと無理な人もいます。 正直やってみないと分かりません。
デイサービス職員の年齢層・男女比は?
私が働いていたところは、20代2人、30代1人、あとは40代50代がメイン層で、60代70代もいました。 他のところも大きくは変わらないと思います。 男女比は9割方女性でした。 女性の利用者さんは入浴介助時に男性スタッフを嫌がる傾向にあるのが大きいようです。
オススメのレクリエーションは?
「誰でもできる」「体や手先の運動になる」「季節を感じられる」ものがベストでしょう。 具体的には、 ・ペットボトルボーリング ・紙コップタワー ・季節の飾りもの作り ・豆まき などがあります。また、ヨーヨー釣りやカラオケなど、利用者さんが昔を思い出せるようなものもオススメです。
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